変形労働時間制

  労働基準法では、労働時間は原則18時間、140時間と定められ、この時間を超えた場合には、時間外労働となり、割増賃金を支払うこととなります。しかし、労働時間の弾力的な運用を図るため、変形労働時間制という制度があります。

変形労働時間制の種類

具体的には次のような制度が定められています。

·         1か月単位の変形労働時間制

·         1年単位の変形労働時間制

·         1週単位の非定型的変形労働時間制

いずれもその単位とする期間の中で業務の繁閑がある場合に適用することで全体の労働時間を抑制し、無用な残業を減らすことが可能です。

 

1年単位の変形労働時間制

 1年単位の変形労働時間制に適しているケースとして、1年を通して繁閑がある場合は、忙しい時の労働時間を増やして、手薄の時の労働時間を減らすという制度を作ればかなりの残業時間を削減することが可能になります。

 労働時間を調整するといってもやはり、法の規制が入り、好き勝手にできるわけではありません。1年変形の場合は、1年間の労働時間(限度時間は2085時間)を繁閑の時期に合わせて調整することになりますが次の通り1日の労働時間等に限度があります。

·         110時間

·         152時間

·         連続労働日6

·         148時間を超す週は連続3週以下

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1か月単位の変形労働時間制

 1か月単位の変形労働制に適しているケースとして、毎月、月初めと月末は忙しいが、月の中途は比較的業務が閑散としているなどの場合には、1か月単位の変形労働時間制を利用するのが良いと思われます。
  1か
月単位の変形労働時間制とは、「1か月以内の一定の期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間を超えない場合には、特定された週または特定された日について、140時間を超えて、また18時間を超えて労働させることができます。」

1年単位の変形労働制の変形労働制は、1日の労働時間の上限が10時間であったり、1週間の労働時間の上限が52時間などの規制がありますが、1か月単位の変形労働制には、このような規制がないため、夜勤がある病院や介護施設などで多く導入されています。

 

1週間単位の非定型的変形労働時間制

 1週間単位の非定型的変形労働時間制は、1週間の中で、忙しい日にはある程度長く働くかわりに、比較的忙しくない日は休日とするか労働時間を短くすることにより、全体としては労働時間の短縮につながることを期待するものです。
 この制度を導入するためには、①小売業、旅館、料理店および飲食店の事業であって規模が30人未満のものについて、②労使協定において、③1週間の所定労働時間として40時間以内の時間を定めることを要件としています。

 変形労働制の導入には細かい条件があります。専門の社会保険労務士にご相談ください。