休日と休暇は、どちらも仕事がお休みということでは同じですが、 この2つには法的に大きな違いがあります。
「休日」
「労働義務のない日」をいいます。この日に仕事をすれば、休日出勤となり、割増賃金が支払われます。 労働基準法では、毎週少なくても1回(週休制)、もしくは4週間に4日以上(変形週休制)の休日を与えなくてはならないとされています。
「休暇」
「労働義務のある日」を、労働者自らが休暇を申し込むことにより、労働義務が免除される日です。 法で定められている年次有給休暇・産前産後休暇・生理休暇・育児休暇・介護休暇、さらに、労使間で自由に決めることのできる会社有給休暇・忌引休暇・病気休暇があります。
休日には法定休日と所定休日がありますが、両者を混同したり、正しく理解していない担当者も少なくありません。ここでは、法定休日をめぐる取扱いと実務上の留意点を解説します。
労働基準法では、使用者は毎週少なくとも1回の休日、または、4週間を通じて4日の休日を与えなければならないと規定されています。
法定休日について法律では、曜日の特定や一斉に休むことまでは要求していません。
シフト制により個人別に毎週1日、または4週間を通じて4日の法定休日と、その他の所定休日を会社の都合で自由に設定することもできます。
法定休日を特定するべきか
就業規則で法定休日の曜日を決めている会社があります。
たとえば、週休2日制で土曜日と日曜日が休日の場合、日曜日を法定休日としているような場合です。
しかし、法定休日の曜日を決めなくても、結果的に1週間に1日の休日があれば違法とはなりません。
そのため、就業規則に法定休日と所定休日の区別を記載していないケースもよく見かけます。
その点について行政当局は、法定休日が特定されていない場合には、暦週の後に来る休日を法定休日とする見解を出しています。
就業規則で週の起点となる曜日を決めることもできますが、一般に「暦週」というと日曜日から土曜日までを指します。
週の起点となる曜日を特定していないと暦週で1週間を考えるので、土日の週休2日制の場合、土曜日が法定休日となります。
法定休日を特定しない場合は、「各週の最後の1日の休日を法定休日として取り扱う。ただし、1週間は暦週(日曜日から土曜日まで)とする」
など、1週間を暦週とするのか、別途起点とする曜日を指定するのかについても規定します。
年次有給休暇は、労働者が心身のリフレッシュや自己啓発などを図れるように、賃金の支払を受けながら休暇をとることを認めた制度です。使用者は、
(1)雇入れの日から起算して6カ月間継続勤務し、
(2)全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、
継続しまたは分割した10労働日の有給休暇を与えなければなりません。1年6カ月以上継続勤務した労働者に対しては、6カ月を超えた日から起算した継続勤務年数1年ごとに、継続勤務2年目までは1労働日ずつ、3年目以降は2労働日ずつが、最大10労働日(合計20日)まで加算されます。
(1)(2)の要件を充たせば、労働者は当然に年休権を取得し、休暇の時季を指定できます。すなわち、年休の取得に際して使用者の承認を得ることは、法律上は必要ではありません。もっとも、使用者は、それにより事業の正常な運営が妨げられる場合には時季変更権を行使できます。
パートタイム労働者については、その年の所定労働日数に比例した日数の年休が付与されます。なお、週の労働日が4日または年216日を超える者、および週の労働時間が30時間を超える者については、原則どおりの年休日数となります。
労働基準監督署に届出が必要な労使協定と不要な労使協定
主な労使協定とその届出義務
(1)時間外労働・休日労働に関する労使協定(36協定) ○
(2)60時間超時間外労働の代替休暇に関する協定 ×
(3)賃金控除に関する労使協定 ×
(4)一斉休憩の適用除外に関する労使協定 ×
(5)社内預金に関する労使協定 ○
(6)1ヵ月単位の変形労働時間制に関する労使協定 △
(7)1年単位の変形労働時間制に関する労使協定 ○
(8)1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する労使協定 ○
(9)フレックスタイム制に関する労使協定 ×
(10)事業場外労働に関する労使協定 △
(11)専門業務型裁量労働制に関する労使協定 ○
(12)年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定 ×
(13)年次有給休暇の時間単位付与に関する協定 ×
(14)年次有給休暇中の賃金に関する労使協定 ×
(15)育児・介護休業等の適用除外者に関する労使協定 ×
(16)65歳までの継続雇用制度に関する労使協定 ×
※労働基準監督署への届出が、○:必要 △:条件による ×:不要
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